転・奇跡的なミラクル

Last Updated:2022/06/15(水)
それでも携帯片手に、24時間365日の自称お助けヘルプとの通話を続ける。アパート共同玄関の呼出用のテンキーを使った解錠の方法を試した。呼出ボタンを押した後に1234を押す。米印を押してから1234を押し、呼出ボタンを押す。お助けヘルプの指示に従い、ただひたすら祈る気持ちで共同玄関の呼出用のテンキーを押したにゃ。

裏コード、777(トリプルセブン)、ビースト!

と心の中で唱えて、呼出ボタンを押したにゃ。

そしたら、今まで点灯していた呼出ボタンの赤色ダイオードが消えたにゃ。今までと違う雰囲気に何かが変わったことを感じた。呼出ボタンをカチャ、カチャ、カチャと連打。そして、にゃーと言って、ドアを押す。

ドアは開いた。

アパートの共同玄関の内側に人が立っていたにゃ。両手には白いビニル袋を持っていた。ゴミ出しのようだ。にゃんはAppleWatchを確認する。ちょうど午前6時だった。

にゃんのアパートは新築で、まだ、ほとんど誰も入居者はいない。アパートは群をなし、複数の棟からなる。にゃんの住む棟には、まだ、にゃんを含めても3世帯しかいない。午前5時、6時といった早朝にドアが開く確率は0に近い。

そのドアが開いたことがミラクルだにゃ。

そして、それはまだ、奇跡的なミラクルへの伏線にすぎなかった。

つづく。今、6月15日(水)午前7時41分。